でもほら、頑張ろうよ【風都探偵 The STAGE 感想】

 

千秋楽おめでとうございます!!
中止になってしまった公演もありましたが、無事に再開し千秋楽を迎えられて、流石ヒーロー物、なんて思ったりもしました。

個人的には、オタク人生最多観劇数を更新し、ノンストップの現場スケジュールを乗り越えられるか不安もありましたが、推しの真似をして飲んだR-1のおかげもあってか毎公演健やかに楽しく観ることが出来ました。この調子で今年も元気で愉快なオタクを目指したいと思います。

それでは、楽しくて仕方なかった約1ヶ月を振り返りたいと思います。

仮面ライダーWは初日公演前から見ていたが、千秋楽までに完走できなかった。漫画・アニメの風都探偵については未視聴。

 

◎2人で1人の

つばさくんは役作りについて度々「役と友達になる」と言う。風都探偵ではそれを強く感じられたように思う。

私が仮面ライダーWを見て受けたフィリップの印象は、あどけなさの残る浮世離れした少年、といったところ。
そんなフィリップの少年っぽさや飄々とした性格が、軽さのある話し方や小さく変化する表情に濃く表れている時もあった。
しかし、落ち着いた声色で話したり感情を露にして、フィリップの成長や底にある熱い正義が強く出る時もあった。

一見正反対に見えるが、どちらもフィリップらしさなのだと思う。誰しも相手や状況にによって見せる顔は違うものだ。つばさくんは、役と友達になることで、その役の様々な一面を知り、引き出そうとする。

だからつばさくんの演技は面白いなと思う。演じているキャラクターの一言では表せない様々な側面や可能性を提示して、1人の人間として生き生きと存在させる。深みや厚みのある人間だからもっと知りたい、もっと見ていたいと思う。

これからも、つばさくんの“友達”を沢山紹介してほしいと思う。時には、全く理解の出来ない友達にも出会えたら面白いなと期待している。


◎俺ではなく“俺たち”

どれか1つ好きなシーンを選ぶとしたら、始めにフィリップが翔太郎を助けに来て、翔太郎がフィリップを「相棒」と呼ぶシーンだ。
そのシーンで時々、フィリップが小さく返事をすることがあった。その返事が翔太郎の相棒であることを確かめて大切にしているようで、胸が熱くなった。

つばさくんが演じるフィリップは、物凄く翔太郎のことが好きだと思う。もちろん、Wのフィリップも翔太郎との絆は強い。しかし、舞台風都探偵のフィリップは、翔太郎への愛着や人として好きだという気持ちが大きいように思う。「翔太郎」と呼ぶ声に愛が詰まっていて、甘ささえ感じる。随所に翔太郎への愛が溢れているからこそ、単独行動をしようとする翔太郎に怒るフィリップの思いがより切実に伝わってきた。

フィリップから翔太郎へのこの愛しさの主成分はつばさくん本人から和田さん本人への愛と尊敬なのかなと千秋楽後のつばさくんのツイートを見て思ったりもした。

何より、つばさくんと和田さんのコンビの似てるのか似てないのかわからないバランスがとっても楽しかったので、舞台風都探偵はもちろん、他のところでもまた見られたらいいなと思う。


◎魔女に恋した男は1人ではなかったということか

ときめの話をしますね!!

私は軽率なオタクなので、舞台に通う度につばさくんが演じるキャラクター以外に推しキャラが出来る。
しかし、今までこんなにも熱い恋心を抱いたキャラクターがいただろうか、いやいない。

最初はときめに対してノーマークだった。なぜなら少年漫画の女性キャラは非現実的な要素が多く、親しみにくいからだ。男女で分けるのは時代錯誤かもしれないが、ザ男性向け!という感じがして、そんな人いないよとしか思えないのだ。
しかし、能條さんが演じるときめは色気と可愛さをカンストさせ、1周回って同性も憧れる女性へと進化していた。

私が恋に落ちたのは、始めに翔太郎から逃げるシーンで翔太郎にウインクのような誘う眼差しを向けた瞬間だった。その色香にやられて、ときめから目が離せなくなった。
そして、舞台後半、ときめが翔太郎の探偵助手になるかどうかというシーン、「翔太郎は嫌なの?」と言うときめの表情はそれまでの色気たっぷりのものから一変して、これでもかと可愛さを爆発させていた。可愛さを己の武器に変える逞しさに心を打たれ、奪われた。
このギャップに気づいてしまえば、もう虜だった。

翔太郎から逃げるシーンは表情だけでなく、ダンスも素晴らしくて、日によって踊りの軽さや鋭さが違うところもまた私を夢中にさせた。羽が舞うようにふわりと踊るとときめの軽やかさや掴みどころのなさが見えるし、音を鋭く取って踊るとときめの強さが見えた。

今回、楽しく舞台を見続けられたの理由の1つは間違いなくときめへの恋心だ。この恋心をこれっきりにしたくないのでぜひ、ぜひ次回作でわたしとときめを引き合わせてほしい。


◎でもほら、頑張ろうよ

この目で見た変身シーンは鮮烈だった。
「変身」その一言に物凄いパワーを感じた。

仮面ライダーではないのだが、私も同じニチアサのプリキュアが大好きだった。何度もプリキュアに変身した。プリキュアに変身すれば世界一可愛く、強くなれた気がしていた。
幼馴染の男の子や、生まれてまだ数年の友達の子どもも、画面越しの仮面ライダーを食い入るように見つめ、買ってもらった変身ベルトを嬉しそうに身につけていた。沢山の人が、仮面ライダーに、変身に憧れている。
それほど、「変身」には力があるということだと思う。そして、つばさくんも和田さんも、上野さんもその「変身」の力に負けず、自分の味方にして変身した。

公演期間中、幾度となくヒーローとはなんだろうと考えた。今日でこの舞台を見るのは最後という時になってその答えが見つかった。私にとってのヒーローとは、期待を背負ってくれる存在だ。

「変身」の圧倒的なパワーを煌めきにして戦うつばさくんを見て、初めてつばさくんが出演する舞台を見た時のことを思い出した。

コロナ禍で、見たかったいくつものエンターテイメントが中止になり、私のエンターテイメントへの期待は無意味なのかもしれないと思っていた。そんな時につばさくんが全身全霊で役を生きている姿を見て、私のエンターテイメントへの期待をこの人なら守ってくれる、この人に託したいと強く思った。

その時から、私の気持ちは変わっていない。むしろ、つばさくんのお芝居を見る度にその期待が膨らみ、信頼は増すばかりだ。

今回の公演期間中、1度だけ仕事終わりに劇場へ向かった。
エンターテイメントの煌めきとは縁遠いような日常を越えた先に、待ち望んだ世界があった。私の日常と、エンターテイメントの世界は地続きなのだと思ったらとても嬉しかったことを覚えている。
私の日常がどんなに曇っていようとも、つばさくんが役者という仕事を愛し続けている限り、私が大切にしたいときめきや憧れ、私の人生の中で確実にあったぴかぴかした時間を守ってくれている。そして、そんな感情や時間にまた出会えると信じさせてくれる。

だから、つばさくんは私のヒーローだ。

つばさくんが演じる姿に期待をして止まない。
つばさくんが演じれば演じるだけ、面白いものが見られると確信している。
その確信が私の日常を支えている。

これからも日常が嫌になることがあるだろう。それでもつばさくんが演じる姿を思い浮かべて、頑張ろうよと自分自身に声をかけてあげられる。これまでだってそうやって乗り越えてきたのだから。