別れた時より素晴らしい場面を【舞台「東京リベンジャーズ-The LAST LEAP-」 感想】

 

 4年間お疲れ様でした!

 初演の千穐楽、つばさくんが「もし叶うなら、また会いたいなって思うので、絶対、まだリベンジしてないことあるんで、会いにきてください」と語った。あの時、「もし」から言い換えた「絶対」がここまで辿り着いたんだと思うと感慨深かった。

 私の役者・木津つばさオタクとしての人生はリベステから始まり、リベステに育ててもらったので、完結までつばさくんが武道を演じてくれたことが嬉しい分だけ、この歩みに区切りがついてしまうことがとても寂しかった。
 しかし、いざ始まると4年分の思い出を全部集めて昇華してくれるような物語とお芝居で、寂しさよりもここまで見届けられた喜びで満たされた。


 今回感動したシーンの一つが、武道が幼馴染の鶴蝶に何度殴られても立ち上がり言った台詞だ。武道はマイキーくんみたいにカリスマもないし、ドラケンくんみたいに喧嘩も強くない、とこれまで関わってきた仲間を思い返しながら、武道自身と比べる。関わる人々が増えれば増えるほど、自分の力の小ささを思い知ったはず。それでも、武道は「俺にできるのは諦めねえことだ」と、自分だけの価値を確信する。

 武道のこの台詞から、第一弾でヒナが言った「武道くんは武道くんだよ」という台詞を思い出した。
 これまでずっと、武道は仲間たちの言葉に支えられて立ち上がってきた。しかし、今回の武道は、自ら立ち上がる。仲間から与えられた愛と信頼を全て己の糧にして。そして、1番大切な人からもらった、“あなたがあなたである”という最も大きな愛を、自分の言葉として叫んだ。
 受け取った愛を認め、自らの血肉とする。それは、あなたの愛が何よりも大切だと証明する最高の愛の応えだと思う。

 私は、リベステを見る度に、自分をきちんと愛そうと思い直してきた。マイキーくんでもない、ドラケンくんでもない。人に誇れる才能もないし、何か特別努力をしてきたこともない。そんな私でも、今の自分を認めてあげよう、勝手に周りと比べて自分を卑下しなくていいんだと何度も自分を見つめ直した。
 今回、沢山の人の愛を糧に、自らの意思で立ち上がった武道を見て、初めて私は周りの人に愛を返せているのだろうかと考えた。4年間、ひたすらに自分を含む全ての人と向き合い、愛してきた武道の姿から、受け取ったものは感動だけではない。広がり続ける愛を受け取ったのだ。

 その愛は、もちろん、武道と関わる全ての人にも与えられている。

 これまで、武道にとって仲間とは武道の心が折れかけた時に支えになってくれる存在だった。しかし、今回の武道は折れることを知らない。ボロボロになっても立ち上がり、相手に向かっていく。そんな武道を千冬が止める。天竺との抗争に向かう前、千冬は武道と「2人で心中だな」と言葉を交わしたにも関わらず、千冬は武道の命を繋ぐことを優先する。
 周りの人の思いまで全てを背負い込む武道に、ブレーキをかけてくれる人がいる。ただ共にギアを上げて突き進むだけではない存在も立派な愛だ。

 しかし、武道は正真正銘、関わる全ての人に愛を持ってしまうから、最後には宿敵の稀咲にさえも「アイツともっと向き合いたかった」と言う。
 そんな武道だから、この未来を掴むことができた。

 武道の愛を受け取った最たる人物がマイキーだと思う。
 関東事変の後、マイキーは「トーマンのみんなもヒナちゃんも俺が守る」と宣言する。元の世界線では大切な人を全て亡くし、闇に堕ちたマイキーが、今回の世界では身近にある大事なものを全て失ったとしても、その周りにいる武道やトーマンメンバーの愛に気づき、さらに大切な人たちの大切なものを守り抜くと誓う。それは、武道が誰彼構わず、因縁の稀咲にさえも愛を分け与えてしまうような人物だから、マイキーの心を動かすことができたのだ。

 だから、ヒナが武道に対して言った「真っ直ぐな思いだけじゃ人は動かないよ。君の諦めない姿が動かしたんだよ」という言葉が、武道のこれまでを表すのにあまりに適切な表現だと思った。
 そしてその言葉を聞いて、やっぱりつばさくんは武道に似ていると思った。
 これは私の木津つばさオタクとしてのサビだから、しつこいほどに書いてるけれど、私がつばさくんのオタクになった頃はコロナ禍だった。インタビューやSNSから伝わる、つばさくんの演劇への志に惹かれていたものの、まだ飛び込む勇気がなくて、二の足を踏んでいた。しかし、いざ舞台に立つつばさくんを見たらそれは物凄い衝撃で、数ヶ月転がしていた不安を蹴飛ばした。目の前でエンタメのために汗水流して生きている人間の説得力。そこには、全てのエンタメが「不要」と切り捨てられた中でも、エンタメを決して諦めずに愛し抜く姿があった。そんなつばさくんを見て、どんな情勢でも好きなものを諦めなくていいんだと思えた。つばさくんの姿から、諦めないという愛を学んだ。
 その生き様で、関わる人に「愛すること」を伝えていく。そんなつばさくんが演じた花垣武道だからこそ辿り着いた未来が舞台「東京リベンジャーズ-The LAST LEAP-」で描かれていた。


 4年前、私は観劇素人だった。今が玄人というわけではないけれど。演劇を楽しみきれるかさえも曖昧で、リベステを見るまで、作品やカンパニーに愛着が持てるのだろうかと思っていた。
 4年経った今、今回久しぶりにリベステに戻ってきた方々の顔を見た時に色んな思い出が蘇ってきて、目頭が熱くなった。
 最高の未来に続きを望んでしまうのがオタクの性だ。だからいつか、同窓会みたいなことをしてくれたらいいなと思う。以前、半間役の菊池修司さんのイベントでリベステカンパニーで役をシャッフルしてみよう!バスの座席割を決めてみよう!とお話ししていたのが天才的に面白かったので、歴代カンパニー全員出席でやってください。

 リベステから、大事なものを沢山もらった。自分を愛すること、周りの人に愛を返していくこと、演劇への愛。
 リベステは終わったけれど、リベステからもらった沢山の愛は生涯私の中に残るものだ。
 これから初めて、武道のいない季節が始まるけれど、武道からもらった愛を守りながら新たな世界との出会いを心待ちにしたい。