君と夢を願う Holy Night【舞台「東京リベンジャーズ」-聖夜決戦編- 感想】

ただいま~!!

と言いたくなるほど、リベステが私にとってのホームなんだと実感する公演期間だった。安心感が実家のそれ。
舞台上から伝わる情熱が心地良くて、未知のストーリーにも関わらず、懐かしさを感じた。それは、リベステが第3弾まで続いてきた物語だから生まれる空気感ではないかと思う。

今作から舞台「東京リベンジャーズ」に加わったキャストの方がアフタートークで「皆さんがここまで紡いできてくださった物語に加わることが出来て嬉しい」と話をされていて、“紡いできた”という表現をしたことが印象に残っている。“続ける”でもなく、“繋げる”でもなく、“紡ぐ”。より境目なく様々な思いや意図を重ね合わせている印象を受けた。
リベステのメインキャラクターは、第3弾まで続いた今までキャスト変更をせずに行ってきた。そのことが、舞台「東京リベンジャーズ」を貫く意図をより太く真っ直ぐなものにしているのではないだろうか。

今回の「聖夜決戦編」を見ている最中に、過去のリベステのシーンを思い出し、目の前のシーンと重なる瞬間が度々あった。
それを強く感じたのは、武道と千冬が三ツ谷の言葉を聞き、九井と乾に立ち向かう直前、2人で「いくぞー!」と叫ぶシーンだ。
第1弾で忘れられないシーンの1つが、武道が清正に再び立ち向かうシーンで、清正に殴られた武道が立ち上がる時に、胸を力強く叩いた瞬間だ。第1弾は武道にとって、自分を肯定してくれていた仲間の存在に気付き、自分自身を肯定できるようになる物語であったと考える。ダサくてみっともなかった武道が、仲間の言葉や存在を思い出し、何とか自分を肯定して踏ん張ろうとする姿がその仕草に込められていたように思う。第1弾では武道は1人で戦った。仲間の支えはあったけれど、自分の胸を叩いて、自分の力で立ち上がった。
しかし、今回の「聖夜決戦編」では、三ツ谷の言葉で立ち上がり、千冬と共に自分自身を、そして相棒を鼓舞する。もう武道は1人ではない。そうなるまで武道は懸命に自分の人生を生き直し、リベンジを果たしてきた。その過程があの一瞬に詰まっていた。

また、これは書くか迷ったくらいに、曖昧な話なのだが、植田さんが演じる千冬とつばさくんが演じる武道︎︎が似てきたように感じた。どちらかと言うと、千冬はキリッとしていて、武道はふわっとしているイメージがある。基本的なイメージはそのままだが、時々2人の表情がその中間地点に引き寄せられるように見えた。長年連れ添った夫婦の顔が似ていく、という話を聞いたことがあるが、同じ時間を過ごした分だけ相手の表情が自分にもうつってくるのではないか。武道と千冬は物語の中では約1ヶ月半、それでいて多感な時期の激動の期間を共に過ごした。そして俳優本人は、公演期間だけを見ても約3週間を2回、毎日舞台の上で顔を突き合わせて芝居をする。その時間の流れが表情に滲んでいるように感じた。

こうした役者側の時間の流れと、物語中の時間の流れが重なり、舞台「東京リベンジャーズ」の世界をより厚く魅力的にしているのではないかと思う。
2.5次元舞台界隈の性質上、キャスト変更は仕方ないと思うが、今回の論点はキャスト変更の是非ではない。
ただ、こうして第3弾まで同じキャストで行えた奇跡がこの舞台を輝かせることに一役買っているのだと思う。

それから、これは私がつばさくんのオタクをする上でのサビなのだが、“つばさくんは私のエンターテイメントへの期待を守ってくれる”と信じる気持ちが人生の原動力になっている。どんなに私が落ち込んでいようとも、冴えない日々を過ごしていようとも、つばさくんがいるならば、私が大好きなエンターテイメントの世界は今日も輝いている。そう思えることが私の心を支えている。
武道が八三抗争の時から途切れることなくずっと命を懸けて戦っている。私が信じた姿はずっとここに存在していた、そう感じて胸が熱くなると同時に安心した。もちろん、つばさくんのオタクをしていて、その信頼が損なわれたり疑ったことはないのだが。武道が命懸けで戦い、仲間を守る姿は、つばさくんが命懸けでお芝居と向き合い、エンターテイメントの世界を守っている姿なのだと思う。

今回の「聖夜決戦編」では、“初心”を思い出した。つばさくんを応援しよう思った時、初めて自分のあるがままを肯定していいんだと思えた時、その分誰かを肯定しようと思った時。リベステを見ると、自分をもっと大切にしようと思える。武道が救うのはヒナやトーマンの仲間たちだけではない。その生き様で見る人の人生も救っている。