きらめきのビートが止まらない【『Dancing☆Starプリキュア』The Stage 感想】

 

ある日突然2.5次元俳優のオタクになって数年、一心不乱に推しが出演する舞台ばかり見てきたのですが、プリキュア・ダンス・2.5次元舞台のキーワードに心が躍ったので行ってまいりました。ぼくプリ。
発表当時からこんなの私のための作品じゃん?!と思っていたけれど、劇場で見てもそのワクワクは色褪せることなく、むしろ更なる興奮で塗り替えてくれた。

と言いながら、情報解禁されてすぐにチケットを取ったわけではなく、観劇の数日前になってやっと当日引換券を買った。至る所で散々言われてきていることではあるが、観劇は博打性が高い。私は推しのお芝居さえ見られるのであれば博打に勝てる自信があるため、推しが出演する舞台には問答無用でbetしているが、今回はその“推しが出演する”という最大の拠り所がない。その状況では数ヶ月前からチケットを押さえる勢いが足りなかった。しかし、何の予定もない3連休と連日伝わってくる何だか楽しそうな気配が背中を押した。
オタクとしては完売!満員御礼!という響きは嬉しいけれど、気軽に見に行ける環境(チケットの販売状況、値段、開催地etc)も大事だなと実感した。

そんなわけで迎えたぼくプリ。
何よりも私をワクワクさせてくれたのは、田村升吾さん演じる星河楽がキュアトップに初めて変身するシーンだ。
普通の女の子が魔法によって変身し、1つアイテムを身につけて可愛くなればなるほど、強くなっていく。幼いながら、その過程に憧れを抱いた。
キュアトップの変身を見て鏡の前でスカートを履いてはターンをしていた幼い頃を思い出した。ただ、憧れのように一瞬で煌めくスカートが身につけられるなんてことは勿論ありえなくて、一生懸命スカートの靡き方の再現をしていたものだった。
しかし、目の前で起こった変身は、テレビで見た憧れのシーンそのものだった。グローブ、サルエルパンツ、踊りながら気持ちが高まっていくのにつれてプリキュアが作られていく。
キュアトップの変身を見て、20年越しにプリキュアになることは夢じゃなかった、と思った。

変身シーンの再現もさることながら、知っている俳優が変身することも、私に変身を現実と感じさせることに一役買っていたように思う。こんな見方が良いのかはわからないけれど、素の姿を知っている同年代がプリキュアになる様から、とてつもない希望を受け取った。

他にも随所にプリキュアへの敬愛が感じられ、ぼくプリへの思いが大きくなった。
まず、悪役さえもチャーミングなところ。
室井先生、あんな強キャラ愛さずにはいられないだろう。きちんと悪役にもバックボーンがあり、そのビジュアルも魅力的である。闇に呑まれた蛍と充のビジュアルだって推しに着てほしい!と思うくらい良かった。

そして、プリキュアの戦い方。
特に初代プリキュアは、魔法少女アニメの系譜でありながら、自身の肉体を駆使して戦う姿が画期的であり、魅力であった。ぼくプリも、リズムに着目して戦い、必殺技はダンスのステップだが、キックやパンチなどの肉弾戦もあり、男子プリキュアならではの迫力も加わり、見ていてドキドキした。

もちろん、ぼくプリと言えばダンスなのでダンスの話をする。
ぼくプリを見て、ダンスって楽し~!!!(cv.星河楽)と思った。元々ダンスは好きだったけれど、ぼくプリが目指すダンスが楽しすぎた。
私はダンスを見ていて100ある個性の中から、己に突き刺さる踊り方を見つけるのが好きだ。上手い下手を越えて、この人が踊っているのを見ていると飽きないな、心地良いなと思える人を見つけるのが癖になっている。だから、煌星高校ダンス部が個性や楽しむことを第一に踊る姿が突き刺さった。
さあ、その中で私のDancing Starに輝いたのは滝澤諒さん演じるキュアロックこと夏目颯斗だった。キュアロックのロックダンス、これじゃあ不法侵入なんて絶対出来ないわ……と思うくらいガッチガチで迫力が物凄かった。さらに、滝澤さんは、完全に自分の体の可動域と今の自分の体の形を把握してる人で、ここまで動かしたら気持ちいい、かっこよく見せられるというのを理解してコントロールしている感じがした。そんなの楽しいに決まっている。
その上、オーディションの場面でのダンスですらガッチガチだったにも関わらず、最後の全国大会のシーンでは輪をかけてガッチガチ。あれ以上に鍵をかけるところがあったんだ?!と驚いた。全国大会の時の颯斗は、迷いやしがらみが一切感じられなくて、晴れ晴れとした気持ちで踊っているのが真っ直ぐに伝わってきた。ダンスから颯斗の成長が感じられ、ダンスを楽しむ気持ちを大切にしているダンス部の信念を見た気がした。
ところで、滝澤さんはヤングシンバだったのでバレエやジャズがダンスのスタートだったはずなのに、今ではあんなにヒップホップの人になってるのが不思議すぎる。バレエやジャズの人って、何をするにでもバレエやジャズの雰囲気を纏っているイメージなんですが、滝澤さんはその雰囲気がかなり薄い。どんな変遷であのスタイルまで辿り着いたのかめちゃくちゃ興味がある。あと、滝澤さんのピルエットが見たい。

私が幼い頃に好きだと思っていたプリキュアの魅力が、今の私が好きな舞台とダンスの形でぼくプリに濃縮されていて、今の私のストライクゾーンに飛び込んでくる作品だった。ぼくプリの第2弾がやるのであれば、絶対に観に行きたい。そしてその時は追加戦士に木津つばささんの名前があることを心から願っている。キュアアイソレとかどうですか???